多分、みやびちゃんはあたしが今日北条先生に何を言おうとしているか分かっていない。
あたしだって、まだ誰にも言っていない。
阿紗子にも、お姉ちゃんにも言っていない。
そんなこんなしていると、教室に帰りなさい、と催促するチャイムがなった。
あたしはみやびちゃんに最後に聞きたい事だけ訊いた。
「みやびちゃん、」
「どうしたの?」
「みやびちゃんは、北条先生に出会って、後悔してる?」
訊いてはいけないかもしれないのは承知の上だった。
だけど、あたしたちの仲なら…
「そんなの、してるわけないよ。」
みやびちゃんは言った。
あたしは胸を撫で下ろした。
「おかげで英語は自信を持って得意ですって言えるようになったし、それに…」
みやびちゃんは笑顔で答えてくれた。
「妃奈ちゃんとも親友になれたもん。」
とても晴れ晴れとした笑顔だった。
「ありがとう。」
あたしは感謝の気持ちを込めてそう言った。
あたしもみやびちゃんが大好きだから。



