図書館から出ると、廊下には誰もいなかった。
そりゃそうだろう。
時間があまりにも中途半端であった。
あたしはまだ続いている無声映画の中を歩いた。
奇妙な程誰もいなかった。
平面を独り歩きしているような気分だった
何の代わり映えもしない風景の中を、あたしは無性に走り出したくなった。
ちょうど階段に差し掛かった時、あたしは深呼吸した。
そして、音を立てて階段を駆け降りた。
が、途中で足を止めた。
薄暗い階段の中のたった一つの音は、あたしを不安にさせたのだ。
あたしはまた音を立てずに歩きだした。
メニュー