その陰惨な空気は午後の授業に引き継がれた。
そして帰る時間になっても、何ら変かがなかった。
あたしはその日、家に帰らずに学校に残った。
あたしは図書館に向かった。
今にも雨が降りそうな重い雲は、日の光が窓から校舎に差し込むのを遮った。
おかげで廊下は電気が付いているのに暗かった。
図書館に入ると、当たり前だが話し声は聞こえない。
無声映画みたいなその空間は、リアルな箱庭に思えた。
あたしは空いている席を探した。
あたしは奥の方まで行き、端の方の席に座った。
席に着くなり、あたしも無声映画のキャストの一人になった。



