「ねえ、聞いた?
聞いた!?」


昼休みに、1人の女の子が、若干ヒステリックな声で叫びながら教室に入ってきた。


教室にいた全員が目を丸くした。


それもそのはずだ。


その子は普段は比較的大人しく、大声を出すなど考えられないような子だった。


何があったというのだろうか?


クラス中の視線が彼女に集まった。


皆の視線を一身に浴びても、彼女は興奮が冷めないまま息を切らせていた。


「何があったの?」


彼女の友達は尋ねた。


「北条先生が…」


その名を聞いた女の子のほとんどが銅像のように固まった。


あたしも例外ではない。


この前のバレンタインのことがあったから、余計に過剰反応しているのは分かっているが。


「うん、」


その友達もゆっくりめにそう言った。