そして、もうすぐ1年が終わるという思いがあった。


始業式からいろいろあったこの1年


波乱万丈という四字熟語がぴったりだった。


あたしの人生の経験値は確実に大幅に上がっただろう。


あたしは眠そうに挨拶しながらも、スタスタと歩いていった彼の背中を見た。


もうすぐ終わる。


今まであたしを桎梏していたものが。


あたしを空を見上げた。


長いようで短かったこれまでを思い返しながら。


「妃奈?」


「うん?」


「どうしたの?
上見ててこけても知らないよ?」


「こけたら助けてね。」


「はいはい。」


あたしは呆れる阿紗子に笑顔を向けた。