「もう一回行っといでよ。」
「もう無理だよ。
聞いちゃったもん。」
「何を?」
「2人が今晩会う約束してるの…」
2人の続いてた会話が途切れた。
阿紗子とみやびちゃんは顔を見合わせていた。
あたしはこの間の事を思い出した。
仲、良かったもんなあ。
妙に冷静になろうとしている自分がいた。
木下先生と北条先生。
あたしは頭の中で2人の並んだ姿を思い描いた。
お似合いだ。
この子が自分のチョコを渡せなかったのだって理解出来る。
その状況を目の当たりにして、自分の想いをどういった形であれ、伝えるのは不可能であろう。
あたしはこの子を可愛そうだと思った。
と同時に、
悲しいと思った。
この子に対してか
自分に対してか
分からないけど。



