元カレ教師



「ぅん…」


手と瞼の微動。


それはその場にいる者の全てが見た。


「みやびちゃん?」


あたしはもう一度彼女の名を呼ぶ。


すると、彼女の目がうすらうすら見えてくる。


そして、彼女の丸い黒目が確実に見えた。


「妃奈、ちゃん?」


夢から覚めたような彼女の瞳は、まだ現にはなれていないようだった。


「妃奈ちゃん。」


その唇からあたしの名が聞こえた。


「ん?」


「…ね。」


「え?」


「ご免ね?」