元カレ教師



「妃奈さん。」


凛とした声があたしの足を止める。


「もし、お時間があれば、待ってて頂けませんか?
あの子が目覚めるのを。」


「え?」


「どうかお願いします。」


あたしは首を横に振る事など出来なかった。


みやびちゃんのお母さんが頭を下げている姿を見て、断れなくなった。


「勿論、面会の方がいらっしゃって、妃奈さんが気を使うというならば、中に入らずにここで待ってるのでもいいのです。
ただ、可能ならば、あの子が目覚める時を、見守ってほしいのです。」


お母さんの切なる願いが、あたしの胸の奥まで響いてきた。


みやびちゃんのお母さんは必死なのだ。


みやびちゃんのお母さんだから。