「先生。」
「どうした?」
「あたし、帰ります。」
「何かあるのか?」
「みやびちゃんの傍には、先生がいてあげて下さい。
みやびちゃんもその方が喜びます。」
あたしは立ち上がりその場を離れようとした。
だか、
「答えになってねえし。」
北条先生はあたしの手首を掴んで言った。
「帰らないといけない用事がないなら、いてやれよ。
友達だろ?」
“友達”
友達か…
「あたしは、みやびちゃんの傍にいる事は出来ない。」
「何で?」
「もう“友達”じゃないから。」
あたしはスッと彼から解放された。
「だから、先生がみやびちゃんの傍にいてあげて下さい。」
あたしは駆け足で病室を出た。
滝沢!
そうあたしに呼びかけている声を無視して。



