「みやびちゃん!」 あたしはそう言って走り出した。 道行く人が足を止める光景 聞こえはしないものの、叫ぶ女性の姿が見えた。 その中を、走り行く長身の男子。 目に映るものを理解しないまま、あたしはがむしゃらに走る。 「妃奈!」 後ろから2人の友の声が聞こえた。 だが、その声に耳を傾けている暇などない。 あたしは前を向いて横断歩道を渡り切り、左へカーブした。 みやびちゃんとの距離は長かった。 だけど、それでもあたしは走る事を止めなかった。