「未来、初めて喋った時のこと覚えてる?」


「覚えてるよ。
未来と同じで、塾の事何にも分かってなさそうな子に『一緒に座って。』って。」


「そうそう。
初対面なのに、未来よく声掛けれたね。」


「声掛けられるのは慣れてたから。」


あたしは小さく笑った。


確かに、あの頃から大人びた雰囲気を持っていた未来。


持ち前の美貌の事も考えると、そりゃ街中で声だって掛けられるだろう。


「でも、声掛けてもらえて嬉しかった。」


もしあの時未来が話しかけてくれなかったら、今の時間は無かったんだろうな。


学校も違えば、住んでる場所だって全然違う、飛び抜けて美人で優しい少女。


「未来も思う。
声掛けて良かったなって。
じゃなきゃ、妃奈とは一生話さなかった気がする。」