「お待たせ致しました。」
笑顔の店員さんがドーナツとジュースを運んでくれた。
錯覚に陥っていたあたしは我に返る。
そして本来の目的を思い出す。
確かめないといけない。
あたしの為にも
未来の為にも
「ねぇ、未来、
…あのさ」
「ご免ね、妃奈。」
未来はあたしを見ずに言った。
「3学期からは、妃奈と会えない。」
―会えない―
その言葉は重い鉛のように思えた。
「…転校、本当にするんだね。」
「うん。
黙っててご免。
何か言い出せなくてさ。」
未来はジュースを一口飲むと、もう一度ご免と言った。
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