「嘘…」


妃奈…


未来は手をギュッと握った。


自分で言うつもりだったのに…


常田君の馬鹿…


何で先に言っちゃうのよ。


未来が教室のドアの所から覗いているのを、二人は気付いていない。


妃奈は、今までで1番悲しそうだった。


少なくとも、あたしが今まで見た中で1番。


でも、妃奈は涙流してない。


まだ信じてるの?


何かの間違いじゃないかって。


…ご免ね、妃奈。


黙ってて、ご免…


未来は先に帰る事にした。


妃奈と一緒に帰りたかったから待ってたけど、これじゃ帰れない。


足音を発てないように、未来は一人静かに歩く。