とは言っても、その時にはモヤモヤとしたスモークがかかっていて、はっきりとは分からなかった。 だが、今ならスモークが取れた状態の、先程の自分の気持ちが分かる。 一言でいうと “切ない” というのが1番当てはまるだろう。 一気に心臓が締め付けられたような感覚、走馬灯のように思い出された昔の記憶、 きっとこの思い出された時に涙が出たのだろう。 「やっぱり、まだ好き?」 山野さんの口調は、お母さんのように優しかった。 「…」