「ありがとう。 でも、山野さんが使って。 あたし、自分のあるから。」 あたしは山野さんにハンカチを渡す。 山野さんは少し目を見開いた。 「山野さんも、泣いてるよ?」 「え!」 山野さんも気付いてなかったらしい。 山野さんはポケットから手鏡を取り出して確認した。 「お互い、自分が泣いてるの知らなかったんだね。」 「みたいだね。」 あたし達はちょっと笑った。 何かあたし達、似てるのかな? そう思ったりもした。