元カレ教師



「謝るべきは木下先生じゃなくって北条先生だと思います。
確かに、木下先生はあたしよりもずっと綺麗で大人な人だっただろうから、血迷っても仕方ないかもしれないけど、でも、先生はその時あたしの存在知らなかったんでしょ?」


「だけど!」


「なら、やっぱりしょうがないですって。
北条先生先生も、彼女いるって言わなかったんだから。
っていうか、それが悪いんですよ!
大事な事ちゃんといわないから、あんな事になるんですよ!」


これは慰めでも何でもない。


全てその通りだと、自分でも自信を持って言える。


木下先生は確かにしつこかった。


もし、北条先生があたしとの関係を伝えていて、その上で木下先生が言い寄ったなら、木下先生も悪いけど、北条先生は木下先生に何も言ってなかった。


それは北条先生一人が責任を負うべきだ。


「だから、そんなに自分を責めないで下さい。」


「ありがとう。」


木下先生は、やっとあたしの方を見て笑ってくれた。


やっぱり木下先生は美人だなぁ。


「あ、あと、一つお願いがあるんですけど、」


「何?」


「その、あたしが昔北条先生と付き合ってた事、黙っといて下さい。」


「それは、お願いされるまでもないわ。
勿論誰にも言わないし、言う気もない。
生徒の個人情報だもの。」


カタッ


何かが落ちる音がした。


だが、あたしは特に気にもかけなかった。