速い子が次々に走り終える中、あたしはまだ走り続けていた。


でもまだあと一周。


「山野さん、あと一周!」


あたしの前を走る山野さんは木下先生に頷くと少し速度を上げて走っていく。


「残り一周!」


あたしの時はやはり名前を呼んでくれなかった。


…気にしすぎかな?


っていうかあたし可笑しい。


今までだったら教師に名前呼ばれなかったくらいでグチグチ考えたりしなかったのに。





原因はあれかな?


きっとこの前、腹を割って話をしてもらったからだろう。


だから、仲良くなれたと思って、こんな事考えるのだ。


あたしは走りながら1人で頷いていた。