彼女の、滝沢さんの後ろ姿が見えなくなったところで、あたしの中に解決出来ない迷いが生じた。


本当に、今の話を言っても良かったのだろうか?


無論、滝沢さんが今の話を他に漏らす心配をしているのではない。


あたしだって、信用出来そうな相手を選んだつもりだ。


だけど、滝沢さんの目や表情には様々な感情が宿っていた。


困惑、戸惑い、疑問…


話の途中でも気付いた。


だが、話始めたからには中断する事も出来ず、全てを話した。


そして、滝沢さんは最後に


「分かりました。」


そう言ってくれた。


優しい子なんだ。


あたしは率直にそう思った。


あたしも帰ろう。


空はもう青くも紅くもない。


そして、一歩踏み出そうとした。


「真由美、」