「その後、あたしは酔いが醒めたフリをして、玄関まで彼を送った。
そしたら、ちょうどのタイミングで当時の彼の彼女に出くわした。」
「えぇ!?」
それが彼女ではないという事を知っているのは3人だ。
そこにいた不幸な北条昴。
2人めはそこにいなかったあたし。
そして、彼女と間違われた人。
「朝から大喧嘩になったわ。
その彼女の人が彼をひっぱたいて、
『どういうつもり?』
って凄い人相で言ったんだから。
その時になってやっとあたし気付いたの。
大切な彼女がいたからあんなにあたしを拒んでたんだって。
…何であたしそれに気付かなかったんだろうね?
本当にあたしは馬鹿以下よ。」
小さくなり、自嘲も混じる声に、あたしは返す言葉を失った。



