「実際、結構焦ってた。
あたしの方が歳上だから絶対に落とせると思ってたんだもの。
それであたしは強行突破しようって決めたの。」
「強行突破?」
「そうよ。
…すっごい単純な方法よ。
彼はまだ未成年で、あたしは成人になって1年ぐらい経っていた。
それを利用して、あたしは酔ったフリして彼に会いにいった。」
夜の闇は空をどんどん蝕んでいっていた。
もう赤い日は筋のようにしか見えない。
そしてまだ星も見えない。
「流石に酒に酔った歳上の美女なんてほっとけないでしょ?
予想通り彼はあたしを構ってくれて、家まで送るって言ってくれた。
実際あたしは家まで送ってもらって、中まで着いてきてもらった。
もうこれで大丈夫だと思ったら即座に帰りますって言い出したのよ?
信じられなかった。
それに、ここで帰られたらあたしの計画は大失敗よ。
だから…」
唾を飲み込んだ彼女は言葉を続けた。
「酔ったフリ続けてベッドに引きづりこんで…それからやっと作戦成功ね。」
あたしは手が熱くなっていくのを感じた。
想像したわけじゃない。
むしろ言葉は耳から抜けて行くように通り過ぎていった。
だけど…



