「あたしが彼と会ったのはバイトの時。
その時にあたしは彼に恋をした。」
懐かしむ声にあたしは違和感を覚えた。
理由は分からない。
「その頃のあたしは、自分でも恥ずかしくなるぐらい馬鹿だったのよ?
自信家だったし、…特に容姿にはね。
それに、欲しいものは何でも手に入れたいような子だったわ。」
「嘘!?」
とても信じられなかった。
何か今の木下先生とはイメージが違いすぎて、この先話についていく自信が挫けそうになった。
「本当よ?
それで、話は簡単。
北条先生があたしの“欲しいもの”の一つになった。
あたしは彼に色んな方法でアピールした。」
段々と、窓越しから見える空の色は夕焼けから夜の色へと変わっていった。
1番星はまだ見えなかった。
月も…



