「あの、その前一つ聞いても良いですか?」
「何?」
「何で、あたしだけに話そうと思ったのですか?」
「それは…」
木下先生から笑顔が消えた。
「ご免なさい。
それは、ちょっと言えない。
…実は本当に失礼な理由だから。」
「え?」
「本当にご免なさい。」
「否、いいんです。
あたしこそ、言いにくい事聞いてご免なさい。」
「ううん。
滝沢さんは全然悪くないわ。
…こんな事ずっと続けててもきりがないわね。
話すわ。」
こうして、3年前の事実が話され始めた。
過去の食い違いを解き明かす事になるのが、この日常で起きた奇跡になるとは、あたしは全く予想しなかった。



