キーンコーンカーンコーン


チャイムの音が校内に渡った。


最後の授業が移動教室だったあたし達は、いつものようにダラダラせずに教室に戻った。


「北条先生!」


途中で彼の姿を見た女子が駆け寄った。


そういえば、北条先生もまだ新しい人に会ってないんだよね?


「さっさと戻るぞ!
新しい先生は女らしい!」


それを聞いた男子の態度は、ハッキリとニ種類に別れた。


一つは、美人で若い先生かもしれない、という僅かな希望を最大限に膨らませている男子。


もう一方は、どうせそんなのあり得ない、と諦めている男子。


前者の男子が一斉に走り出した。


あたしは、ちょっと馬鹿だなって思った。


代わりの先生が若くて美人だったら奇跡じゃん。


美男美女揃いのクラスとか、あり得ないって。


あたしはそんな男子の背中を見ながらゆっくりと教室に戻った。