それからは、普段と何も変わらぬ日常が過ぎていった。


あの日、あたしと山野さんが戻ってきた時、皆一斉にあたし達を見た。


あの沈黙はきっと一生あたしの胸に残るだろう。


が、全員が少し驚いた後、安心したように元に戻った。


今度はあたしが驚く番だった。


その理由を知ったのは次の休み時間だった。


「山野さんと何かあったの?」


未来は言った。


「特に特別な事は何もなかったけど、何で?」


「山野さん、さっきスッゴい嬉しそうな顔してたから。」


あたしはそこで疑問を解決する事が出来た。


つまり、あたしと北条先生に何もなかった、という事実をその時に確信したのだ。


「そうなんだ。」


「そう。
あ、それより、妃奈あの話聞いた?」


「あの話って?」


「戸田、昨日骨折したんだって。」


「えぇ!?」