山野さんは中々次の語を口にしようとしない。 「違うの?」 「否、それもあるの。 北条先生リレー抜けて滝沢さんをお姫様抱っこして保健室行って、それから全然帰って来ないし。」 「あ、何もなかったからね。」 「本当?」 「本当だよ。 起きたら、北条先生がいて、ビックリしましたってだけ。」 本当にそれだけだった。 だけど、そう言った瞬間何だか胸がチクッてした。 「で、あの、山野さんは何言おうとしたの?」 「あ、そうよね。 えっとね、」