「え、先生?」 北条先生はまたあたしを抱き締めた。 強く、強く抱き締めた。 「今夜だけは昴って呼んで?」 北条先生はあたしを体から離し、真っ直ぐに見つめてくる。 「な?」 ノーとは決して言えなくなるような甘えた顔。 付き合ってた頃、1番大好きだった昴の表情の一つだった。 その表情は幾年か過ぎ、更に大人になった彼においても、相変わらず魅力的だった。 「うん。」 逆らえるわけない。 たとえこの先が どんなに辛いと分かっていたとしても。