「先生、」
「もう大丈夫か?」
「大丈夫。
先生、始発の電車って、何時ですか?」
「電車で帰るつもりか?」
「はい。」
「お前馬鹿か!
そんな時間、まだ危ないだろ!」
北条先生は、本気で怒った。
その時の彼の顔は、先生じゃなかった。
昴の顔だった。
「大丈夫。
それに、ほら、バイクのガソリンだって、」
「それなら心配ないよ。」
「え?」
「さっき友達に頼んで、キー渡すからバイク取りに来てって頼んだ。」
「そんなの、友達に悪いって!」
「大丈夫だって。
な?
妃奈は自分の心配だけしてろ。」
「先生、」
「まだ何かあんのか?」
「先生、今、」
“妃奈”って呼んだよね?



