おれは腕時計を確認してからパソコンの電源を入れた。


 目を通していたノートを閉じ、肩肘を机につけてパソコンが完全に立ち上がるのを待つ。


 ジジジッとハードディスクが唸る音が去ると、おれは『ハロー・アラカルト』にログインする。


 オセロの38番ルームにいくとすでにサキのアバターが待っていた。


シバ> 早いね


サキ> 4分の遅刻だぞ


シバ> 怒ってる?


サキ> 全然(^_^)

 絵文字の笑顔を見ておれはひとまずほっとした。