彼女の嘘と俺の嘘



 サキはおれの年齢の検討はついても、ここまで落ちぶれた奴だとは夢にも思っていないだろう。


 おれの口からは自虐的な笑いがこぼれる。


 いや、それだけじゃない。


 もうひとつの嘘を知ったらサキの繊細な心は壊れてしまうかもしれない。


 ひとつなにかが崩れると雪崩のように他のものも崩壊する。


 サキにはどんな小さな嘘でも気づかれてはいけなかった。


 なにやってんだろ……おれ……。


 おれはアイスコーヒーやアイスティーを作るための氷が出るディスペンサーに、底の深いプラスチック製のカップをレーバーに押し当てた。