「ええ」


「君が警察に対し恨みを持っているのは、警察官なら誰でも知ってるんだよ」


「……」


 美和子は沈黙を守っていた。


 手元にあるパソコンの画面を時折見ながら……。


「山さん、あたし調べなきゃならないことが山積みなの。今日のところはこれで勘弁してくれる?」


「うん。だが、君とはもう一度話さないといけないときが来ると思う」


「話も何も、あたしはそんなファイルがあることなんか全く知らないんだから」


「ウソをついてるときの君の顔はオヤジさんそっくりだな。あの事件が起きたときの佐田警部補も今の君と似たような顔してたよ」


「父のことはもう言わないで」


「分かった」


 山口が頷き、フロアを出ると、また美和子はキーを叩き続けた。