――あ、山口さん、お疲れ様です。警視庁の椛田です。


「おう。例のピーズファイルに関して、何か分かった?」


 ――ええ。実はあのファイル、奇跡的に本庁では一番使われていなかったコンピューターに残ってました。


「閲覧は出来るの?」


 ――出来ます。ただし、コピーガードが掛かってます。暗証番号が分かりません。


「そうだった。君は十一桁の暗証番号を知らないんだよね?」


 ――ええ、存じません。


「そのファイルをUSBとかの記録媒体に落とすことは出来る?」


 ――それは可能だと思います。データ自体の添付も可能かと。


「じゃあ、後でその媒体を送る代わりに、俺のメールボックスに送ってくれるかい?」


 ――分かりました。


 椛田が受話器越しに頷いたようで、失礼しますと言って電話を切った。