皆が捜査報告にじっと聞き入った。


 山口も安川も息を殺したようにして振舞っている。


 ここで下手にしゃしゃり出るとまずいと踏んだからだ。


 本庁から来た管理官が事実上二人になったことで、捜査本部は迷走し始めた。


 捜査員たちは皆、シーンと静まり返ったフロア内で報告を聞き続ける。


 署内で女性として唯一刑事課内にいるプロファイラーの佐田美和子が、パソコンの画面を見つめながら、捜査情報を逐一報告していた。


 本部内は多数の警官がいるからか、エアコンが思うように効かない。
 

“これだと今から地獄だな”


 皆が一様にそう思ってしまうぐらい、捜査本部内は蒸し暑い。