元々山口は大食いである。


 たくさん食べる方なのだ。


 それに、確かに今の自分の生活スタイルを考える際、夜間睡眠があまり取れていないので、大量の食事で栄養を補い、疲れたときはドリンク剤などを一、二本買って飲んでいた。


 不健康さも警官の仕事からだと思えば、別に何ともない。
 

 モーニングコーヒーを飲み終わった山口は、ワイシャツを着て、上下とも黒いスーツを羽織り、部屋のキーを持ったことを確認し、玄関先で革靴を履いて部屋を出た。


 いくら部屋が十二階の高層にあるとは言え、鍵を閉めておかないと無用心なのである。


 山口が充電済みのケータイをポケットから取り出し、安川を呼び出した。


 ピルルルルという音が数度鳴った後、


「はい」


 という声が聞こえてきた。


 ――あ、紳ちゃん?俺だよ。山口。


「ああ、山さん。おはようございます」