お互い長年、新宿中央署で同じ水を飲んでいて、すっかり息が合い、慣れきっているのだ。


 山口が先端に付いていた燃えカスを灰皿に落とし、再び口元へと持っていく。


 安川も一服していて、忙しい捜査の合間を縫ってのブレイクタイムのようだった。


 やがて、刑事課内に背格好のいい初老の男性刑事が入ってきて、


「君が新宿中央署の山口猛君か?」


 と言ってきた。
 

「ええ。……もしかして、この署の管理官で?」


「ああ。警視の阿部だ」


「あ、すみません。自己紹介が遅れてしまって」


 山口も安川もさすがに署のトップが入ってくるとなると、緊張せずにはいられなかった。


 自己紹介を済ませると、阿部が、


「君は今回の北新宿での高城和哉さん殺しのホシが、例のワゴンに乗っていた斉藤か南原、もしくは飯田だと踏むんだね?」