左手は常闇を這う【短編】



なにやら


もぞもぞと這いずり廻る


土気色の右手首が


見えては隠れ


其処に居る





ような気がするのだ……



ほらまた、聞こえるのだ。


ズルズル…ズルズル…

ズルズル…ズルズル…

ズルズル…ズルズル…

音がする。