あの日の私は、いかにもそれが当たり前であるかのように、どんよりと佇んでいた。
かねてからそうであるように車椅子に座り、壁の上から下まである大きな鏡の前で、何を見るともなし虚ろな目を向けて、その向こう側に想いをはべらせていた。
暗い赤の絨毯はいつからそこにあるのか分からない程に、初めから鏡の中に映り込み、私はその上に深い蒼の膝掛けをして痩せ細った醜い両足を隠し、色のない顔に目の下の隈を隠しきれず、ただ人形のように動かずにいた。
あれは本当に私だったのだろうか。
その時はまだ、左手首が繋がっていた。


