左手は常闇を這う【短編】



それでも、私は知りたいと思うことを止められない病なのだ。


一度走り出したら止まらない列車のように。
命という燃料が尽きるまで。
それは私が望む望まないにかかわらず、走り続ける。
例えば、そこにレールが敷かれていなくとも。



常闇を這いずり廻る手首のように。
制御不能なものなのだ。