左手は常闇を這う【短編】



私の病は、云ってしまえば厄介なものだった。


世の中には知らなくていいことの方が格段に多いのだが、私はそのことを嫌というほど判っていながら抗えない病なのだ。


知りたいと思ってしまったら……。
否、知りたくもないのに、だ。
知ってしまったら、後は延々と続く底のない蟻地獄のようなもの。


私には、私自身にはどうすることも出来なくなるのだ。