前に私と“彼”は物心ついた時分から、と記したように思うがそれについて少しだけ触れてみようと思う。 が、実を云えば初めて“彼”に出会った時のことを私は憶えていない。 気が付けば、というのが正直なところであって、いつの間にか常日頃“彼”が傍にいることは当たり前以外のなにものでもなかったのだ。 それについて疑問に思ったことなど、ただの一度もなかった。