一緒に向かった先はルーク行きつけの店。裏路地の方にひっそりとたたずむその店はアイリスといい、店主の好きな花の名からきてるらしい。スイーツが絶品で、紅茶の種類が豊富。
「おーい。いつもの席頼むわー」
聞き慣れた主の声に奥から黒のシンプルなエプロンをつけた青年が顔を出す。ルークと同じくイケメンの類いに入るであろう、見た目良し性格良しの人物だ。シンは軽く会釈する。
「もう用意できてるよ。そろそろ来そうな予感がしたんだ。そうそう、ルークとシンが来る数分前なんだけど。変な客がいてね」
「変な客?」
「“もうすぐ沈黙は破られる。終わりか始まりかは、その者次第”とかなんとか。一番高い煌茶頼んでたから、覚えてたってのもあるんだけど」
「げっ。あれ売れたのかよ。この国で一番高い茶だぞ……」
ルークに茶のこだわりはない。安くておいしければ、それでいいと断言してたのを思い出す。そもそも反応するところが違うような。
シンの考えがわかったのか、急に真面目な顔つきになる。



