タイムレイン学舎。ルクス国が力を入れてる騎士と学者を育成するための専門機関。そのとある教室から悲鳴に近い声が廊下まで響き渡る。

黒髪のまだあどけない顔をした少年が苦笑する。

本の虫で、夢が学者のせいか、まさか“騎士になる”と伝えられるとは夢にも思わなかったらしい。クラスメイトは皆一様に驚いている。幼なじみのルーク以外は。


「別にいいじゃねぇか。夢は自由だろ?」

「いや~そうだけどさ。でもシンだぜ?ルークも心配じゃないのか?」

幼なじみはいつも味方でいてくれる。そのことが嬉しくもある反面、複雑な気持ちもある。ルークに守られてばかりで、何もできない自分が……。


そんなシンの思いとは裏腹に、ルークは即答した。


「心配はしてない。約束は必ず果たす奴だからな」


それからシンの方を見て。


「このあと久々に飲もうぜ」

「おごらないからね」


いつものやり取り。こんな会話ができる相手は幼なじみのルークくらいである。