「あれが……アリスから、すべてを託された騎士かぁ。普通より、悪そう。果たしてツカイモノになるのかな?」



噴水のある中央広場ともう一つある、古から時を刻み続ける時計塔の広場。



金色の月を背に少年はくすくすと笑う。



高い場所は特等席だ。滑稽でうわべだけの人間を見下ろす事ができ気分がいい。



唇を三日月のようにつりあげ笑う。



それはまるで――童話に出てくる、チェシャ猫のようだった。少年が被っていたフードの帽子が一陣の風によって、暴かれる。



暗闇によく映えるルビーの髪。



少年は笑い続けひとしきり笑ったあと、背後にいるであろう彼らに静かに告げた。






「さあ行こう、役者が舞台に揃った。始まったら、もう誰も舞台から降りられない」