結局不安を残したままシンはルークのいるイルシオンガーデンに向かった。



ラウル城の裏にイルシオンガーデンはあって、普段は高級クラスの魔術師たちが厳しく管理し、千年祭の時だけ開かれる。



特別なお祭りだから、特別な管理が必要と言う事らしいが、大半の国民が理解を示す中で、騎士を目指す見習い騎士たちの間では何か裏があるとの見方をしていた。



シンがイルシオンガーデンにたどり着くと、準備はほぼ終わっていて手伝う事はなさそうだ。



イルシオンガーデンには屋根がなく、真上は空が広がっている。気がつけばもう黄昏時だ。



シンが所在無さげに立っていると準備を終えたルークが走ってきた。



「シン!もういいのか?」

「あ、ルーク。うん、おかげさまで」

「そうか!あともう少しで千年祭だな、アリスも来るんだろ?」



その問いかけに一瞬返事に迷いながらも、シンは頷く。



「じゃ、余計気合い入るよな。頑張れよ」

「……うん」






この時はまだ知らなかった。






自分の事もアリスの事も何も――――