河原から駅までの道。




初めてのその場所は、夜になると街灯もほとんどなく・・・・・・




切れかけた蛍光灯のような電気がちらほら。





迷った私達は


手を繋ぎながら



歩いたね。






指と指の間にしっかりと感じる涼くんの愛。





誰にもすれ違わない。



誰もいないその場所は



涼くんと私しかいないような不思議な世界。






ようやく出会ったおばあさんに道を聞く涼くんの横顔を見つめていた。




好き。

やっぱり大好き。



頼りになるね。


大人になったね。




涼くんと一緒にいると、

なんにも怖くないし


なんにも不安じゃない。






迷い続けてもいいって思ったんだよ。







「なんか、新婚旅行みたいやなぁ!」




胸の奥の方の小さな宝石が輝いた。




何気なく言った涼くんの言葉に、まだ見ぬ将来の2人の姿が浮かぶ。







いつか−−−



来れるかな。






またここに。




いつか


子供を連れて・・・・・・




涼くん、



来ようね。



またここに。





涼くんといる時間は


私が私らしくいられる時間。





何を言っても


優しく笑いかけてくれる涼くん。






私達は笑ってばかりいたね。






誰もいない2人きりの帰りの電車の中で


そっとキスをした。






あの日、電車の中でこっそり撮った写真は


今も


捨てられずにいます。






ずっとこうしていられると思っていたね。


こんなに気が合う相手は他にいないって思っていたね。