うっとうしいくらい、暖かい日だった。


いつもと変わらず、ただ普通に大学の講義が始まる数分前に後ろの席を確保していたとき。


後ろの席に座った私のすぐ近くのドアから、一際楽しそうに話す男女数名のグループが入ってきた。


そのグループは私の席の横を通りすぎ、前辺りの席を陣取った。


なんとなくその様子を眺めていると、私に背を向けて話しているグループのひとりがくるりと振り返った。




つい、目が合ってしまった。


くるりと振り返ったのは、整った顔立ちの男。


長すぎず短すぎない黒い髪。


整った顔立ちなのに、笑うと幼く見える。


……どこかで、私は彼を見たことがあるような気がする。