――…


 次の日。


 ある珈琲店に、客が1人。


「サトウさん、今スゲェ尻痛い。昨日あいつと別れる時は平気だったのにな。

 それは、いいとして。

 ……あの、さ。オレ、ここでアヤトのことを話して泣くのをやめる。

 アヤトのやつ、笑って消えたからさ、オレもずっと笑うことにしたんだ。

 手紙もアヤトの死をハッキリさせる最後のものとして持っておくんじゃなくて、アヤトが生きた証として持っている」


 幼なじみとの思い出が詰まったこの店のコーヒーの香りに包まれながら、そう言い、笑みをこぼした。


「ありがとう」









【完】