何かが欠けてしまっている。 乾いてきた唇を舌で舐め、唾を飲み込む。 ……唇がヒリヒリする。 何も話せない今、かゆくもないのに目をこすってみたり、意味もなく顎に触れてみたり。 焦っている時ほど、何かをしていないと落ち着かない。 2人と会った珈琲店ではカップを強くテーブルにぶつけてしまったな。 頭の中で今日の出来事を回想 していた時――…。 「よかった……っ」 涙声で、トモミが言った。 彼女が、泣いている――。