聞かれたくない事ってあるでしょう? 自分の失敗談とか、幼い頃の恥ずかしい話とか。 人とは違う話とか。 しばらく沈黙が流れた。 先に口を開いたのは、良壱だった。 「家族は?」 あたしはとっさに、狸寝入りするかと考える。 …あれ、でも。 なんで、良壱があたしの家族の事言うの? 「…もしかして。家に来た?」 「行った。」 即答。 驚く暇もない。 「なんで家知ってんの?」