「あ、石月さん。」 江鳩くんの後を追って、出て行こうとしたら呼び止められた。 「俺が、勝手に拓巳に言っただけだから。香は何も知らないから。」 「わかった。」 私は江鳩くんの後を追った。 「のわぁっ。」 鼻を急に止まった江鳩くんの背中にぶつけた。 「な、なに?」 「志緒ちゃん。虹。」 江鳩くんは空を見上げていた。 私も見上げる。 雲ひとつない。 冷たい空気のある青空に七色くらいの虹が見えた。 「…綺麗。」 感嘆の声がもれる。