「…で。頭の良い志緒ちゃんはもう分かると思うけど、説明するね。」 橋本結城が前に座ったのを見て、江鳩くんは話し始めた。 「事の発端は…兄貴の彼女かな。」 私はわかった。 ユウヤ。 どこかで聞いた事のある名前だって思ってた。 それはそうなんだ。 「彼女の名前は岡本美和なんでしょう。」 「ビンゴ。」 指をパチンと鳴らして、橋本結城は言う。 美和が前に話していたから。 「で、兄貴と仲の良かった結城が岡本と仲の良かった波崎と出会って。辛い過去を知った、ってこと。」